RECRUITMENT INFO.
SPECIAL04 明日を預かる者たち
使命感
PEOPLE04

自分の持ち場で、
できること。

過去
技術系 | 東京電力ホールディングス

松浦 直也

福島本部 復興推進室 双葉町グループ
2010年入社/電気科

 
目の前のことに、一心に。

じっとしていることが苦手で、少年時代は近所の友だちと外でよく遊ぶ活発なタイプだった。外で遊べる日は鬼ごっこや缶蹴り、サッカーに夢中になり、雨の日には誰かの家で一緒にゲームを楽しんだ。友だちとの遊びに時を忘れて、夜暗くなって「もう帰ってきなさい」と親から言われるまで遊び続ける日々を過ごしていた。高校時代の部活でハンドボール部を選んだことはたまたまだったが、一度始めると熱中するようになった。何よりも、仲間と同じ時間を共有することが楽しくて仕方なかった。学生時代は電気工事士などの資格を取得し、学校での学びと取得した資格を活かせる仕事に就きたいと考え、電力会社への就職を志望した。地元九州以外の土地で仕事をしてみたいという思いもあり、選んだのは東京電力だった。入社1年目も終わりに差しかかった3月、千葉市内で研修中だった私たちも大きな揺れに襲われた。高層ビルの上階は揺れが激しかった。そして、その日から私たちは、原子力発電所の事故に関する社内情報やメディアのニュースに、毎日のように触れながら仕事をすることになった。研修後の配属先は電柱の移設工事を行う部署。最初は設計業務を担当し、その後は現場で工事を監理する仕事に携わった。当時、原子力発電所の事故の復旧に直接関わることは出来なかったが、東京電力の社員の一人として自分にできることは、目の前の仕事に打ち込むこと。それが今の自分にできるすべてだと考えて、精一杯励んできた。
現在

帰ってこられる
   場所にする仕事。

それから10年以上経過し、私は福島県双葉郡双葉町に事業所がある福島本部復興推進室双葉町グループへ異動となった。初めて訪れたその場所は避難指示により人の気配がほとんどなく、町の佇まいに驚かされた。今も避難生活を余儀なくされている住民の方々のご自宅は、雑草が生い茂るところも多く、一時帰宅される住民の皆さまの駐車スペースや玄関までの通路確保のため、除草は必要となる。久しぶりに我が家に戻ったとき、雑草が生い茂ったまま放置された家を見るのはつらいはず。住民の方々がそんな悲しい思い、つらい思いを出来るだけしなくても済むように、除草などによりご帰宅時の環境を整えさせていただくことが私たちの仕事だ。4人1組のチームで、計画に従って1日に3、4件、除草を行っていく。除草作業にはすぐに慣れたが、夏の猛暑のなかでの作業は大変で、水筒に用意した水はすぐに空になる。それでも自分にできることは精一杯やる。除草の最中は自然と意識が集中し、広い敷地の草を刈り終えると達成感がある。原子力発電所の事故で避難された当時のままの状況が残った家のなかで、持ち帰られるものと持ち帰ることができないものとを分別して片付けることもある。「これは取っておいてほしい」「あれを廃棄してほしい」といったご要望を漏らさずお聴きし、可能な限り応えていくことを大切にしている。住民の方々に、除草などの作業が終わったことを電話で報告すると、大半の方から「ありがとう」と労いや感謝の言葉をかけられる。当社がこんな状況にしてしまったのにと、少し背筋が伸びる思いがする。
未来

決して忘れては
   ならないこと。

双葉町グループに着任後、福島第一原子力発電所を視察した。敷地内の整備は進み、多くの場所は防護服なしで動けるようになったが、10年以上が過ぎても事故の傷跡はまだ残り、その日のことを忘れてはならないと語っているようだった。町内には未だに電気や水道のインフラが復旧していない地域が多いが、2022年8月30日に特定復興再生拠点区域の避難指示が解除されて、双葉町の復興に向けた動きが少しずつ出てきている。新たに商業施設などがオープンする予定もあり、そうした住環境が整ってくれば、お戻りになる地元の方々も増えてくるのではないか。そんな双葉町のこれからについて、仕事の合間に同僚たちと話すこともある。だが、まだ先は見通せない。私たちにできることは、故郷への帰還を望まれる方々のために、戻ることができる場所をしっかりと整えていくことだ。私自身は、双葉町に帰ることができない方々、(帰ることができても)帰らない方々がいることを、この先、決して忘れることはないだろう。今後も携わることが多いであろう配電に関する仕事では、地域の方々と接して話をする機会も少なくない。そのときに、お客さまの気持ちをしっかりと汲みとり、東京電力を信頼していただけるよう、誠実な対応をしていくことが自分の務めだと思っている。双葉町グループでの経験は、これからも仕事のなかに生き続けていく。
明日を預かる者たち SPECIAL04
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