技術系 | 東京電力ホールディングス
川本 航大
柏崎刈羽原子力発電所 第二運転管理部
2021年入社/総合理工学研究科 共同原子力専攻
子どもの頃の夢は、パイロットになることだった。父親譲りの乗り物好きで、特に鉄道や飛行機といった大きな乗り物を意のままに操る運転士への憧れがあった。大きくなるにつれて、人々の暮らしを支えるエネルギーへと興味が移っていった。大学時代には原子力を学ぶ学生として、福島県浜通り地方での放射線測定活動や意見交換会、原子力施設の見学会を企画するなど、原子力や放射線に関する正しい知識を広める活動を行った。また、がん治療用の放射性医薬品の原料となるアクチニウム225を原子炉で生成する方策について研究し、『原子力の可能性を広げる取り組み』にも力を入れていた。エネルギー資源の乏しい日本にとって、原子力は重要なエネルギーであり、高速炉を含めた核燃料サイクルの循環がカギになる。そのためには、福島の復興や福島の原子力発電所の廃炉作業の完遂、原子力に対する信頼回復が重要と考えた。そこで、福島第一原子力発電所の事故の当事者である東京電力に入社して、原子力発電所の再稼働に貢献し、「世界一安全な原子力発電所」を作り上げたいという想いが強くなった。
一人の運転員として。
現在、柏崎刈羽原子力発電所6/7号機運転員として、中央制御室から原子力プラントの操作、監視業務を行っている。私のミッションは、原子力プラントを安全かつ安定的に維持管理し、電力を生み出すことだ。原子力プラントは、運転中、停止中にかかわらず、核燃料をはじめとした多くの放射性物質を内包している。これらを安全かつ安定的に維持管理するために、安全第一で日々プラントの監視・制御を実践している。
入社1年目からは、柏崎刈羽原子力発電所1号機の運転員として主に現場設備の巡視や現場機器の操作を行っていた。発電した電気を所外へ送り出す開閉所などの共用設備についても現場で学ぶことができた。
3年目には、3ヶ月間の本社駐在研修に取り組んだ。小型モジュール炉(SMR)と呼ばれる次世代炉を日本に導入する場合の基礎検討を行った。SMRは世界にもまだ稼働したプラントが存在しない。そのため、海外の公表資料やメーカーの資料等から設計を読み解き、設備規模を推定し、国内規制や自社プラントと比較しながら検討を行った。安全性や経済性など多角的な視点から検討を行い、自分自身が成長できた貴重な経験となった。
その後は6/7号機の運転員として、再稼働に向けた操作訓練などを通して、稼働プラントに必須の知識を習得することができた。
4年目には運転員の社外訓練機関である「BWR運転訓練センター」で3ヶ月間、実際の制御盤を模したシミュレータの前で原子炉の運転操作や事故時の対応について学んだ。こうした経験を経て、中央制御室からのプラント運転操作も任されるようになった。
国民から信頼されるエネルギーへ。
入社以来、原子力発電所は長らく停止中であったため、運転員でありながら電気をつくる経験がなかった。2026年2月には、14年ぶりとなる6号機の発電機本並列に立ち会うことができ、並列後に発電機出力が中央操作室に表示された際には、微力ながら再稼働に貢献できたと達成感を感じた。また、東京の実家に帰省した際に、灯っている電気をみて「自分たちが発電している電気」だと運転員としての嬉しさや誇りを感じた。
運転員は、1班当たり十数名の編成だ。安全にプラントを運転するには班内がチームとして連携することが重要であるため、班のメンバーとのコミュニケーションを大切にしている。それに加えて、数多の設備知識の習得、原子力発電所のルールの把握、そして設備の異常が発生した際の対応訓練等、日々勉強が必要であり、大変だと感じるときも。
原子力が国民から信頼され、日本にとって欠かせない重要な基幹エネルギーとして発展していくために、これからも貢献していきたい。そして、がん治療をはじめとした原子力の新たな可能性にも貢献できることを願っている。