PROJECT
STORY
05

データという資源を、
企業活動の新しい力へ。

理系 東京電力パワーグリッド

Project Outline

データサイエンスチーム

DX(デジタルトランスフォーメーション)基本構想に基づき、2019年7月に設立。東京電力パワーグリッドで日々生成される大量のデータを有意な情報に変換し、最大限に活用するための分析を行う。

Project Member

東京電力パワーグリッド
技術・業務革新推進室
デジタル化推進グループ データサイエンスチームリーダー
大福泰樹(2006年入社)

※部署名等は取材当時のものです

Chapter 01

デジタルトランスフォーメーション、加速。

デジタルトランスフォーメーション(DX)が、世界的なテーマになっている。その意味するところは幅広いが、日本の経済産業省はこう定義している。「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること(※)」。

東京電力パワーグリッドはデータの宝庫だ。電気を送り届けるさまざまな設備のデータから、人事や労務に関する社内データまで、膨大に収集され、今も蓄積され続けている。ただ、それらがきちんと活用されているとは言いがたい。分析を専門で行うための体制が社内にはなく、担当部署ごとに仕様の異なるシステムで管理されているため、データを連携させることも難しい。
だがDXの潮流の中で、その状況を変えようという取り組みが始まった。データを分析し、意味のある情報へと変換し、課題解決に役立てる。このプロセスのはじめの一歩である「分析」を担うための新しい組織が生まれた。それこそが、大福をチームリーダーとして、2019年7月に発足した「データサイエンスチーム」だ。

※経済産業省「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン Ver.1.0」より

Chapter 02

更地からのスタート。

発足したはいいが、最初にやらなければならなかったのは「やること探し」だった。前例のないチームだけに、いきなり具体的なミッションが降りてくるわけではない。「そもそも自分たちには何ができるのか」を、自ら探るところからのスタートだ。大福をはじめとする4名のチームメンバーは、こう尋ねながら社内を回った。「困っていることはないか」「困っている人はいないか」。そうやって、データサイエンスで解決できそうな課題を地道に探す。

目標も自分たちで具体化した。これまで外部に依頼していた分析を内部化することで削減できるコストや、まだ先の話かもしれないが、データに基づく合理化やビジネス創出によって生まれる利益。そういったものを金額に落とし込む。だが、基準がわからない。いわゆる「AI人材」の高額報酬が世間では話題だが、その年収はだいたい3000万円。ならば、それに匹敵する成果を出すとして、4人いるから年間1億2000万円を目標とした。

そうこうするうちに、ちらほらと案件も舞い込んできた。ただ、内容によってはチームの知見が追いついておらず、保留とせざるを得なかった。社外の専門家の力を借りることもできるが、丸投げしては意味がない。あくまでもサポートを受けるに留め、チームの中にスキルを蓄えていきたい。まずは難易度が低めの案件から取りかかった。並行して社外研修やセミナーにも参加し、積極的に知識を吸収する。その結果、ひとつ案件をこなすたびに、チームのレベルもひとつ上がるといういい流れが生まれた。

Chapter 03

台風による停電を、きめ細かく捉える。

台風15号と19号が立て続けに猛威を振るった2019年秋。全社を挙げて被害の把握と復旧に取り組む中、データサイエンスチームも動いていた。データによる停電状況の観測に、新手法を取り入れようという試みだ。それまでは高圧線の状況を見ていたが、地域ブロックの単位でしか停電の有無がわからない。そこで着目したのが、世帯ごとに設置されているスマートメーターだった。スマートメーターから発信される電力量データを使えば、きめ細やかに停電状況を把握し、対応を早めることができるかもしれない。まず台風15号ではデータの収集と有効性の確認を行い、台風19号でそのプロセスをフロー化。期待した通りの手応えを得ることができた。現在は次の夏に向けて、さらに精度を高めていくための検討を重ねている。電力の安定供給という事業の根幹に、データ分析を通じて貢献できることがうれしい。

チーム設立から約半年の間に引き受けた案件は、50を超えた。データサイエンスチームの存在が広まったことで、駆け回らなくても声がかかるようになった。完了した案件はまだまだ多くないが、コストなどの成果も出始めている。大福自身は、設立当初よく口にした「ちょっと持ち帰らせてほしい」というセリフが減った。調べなくても、相談に即答できることが増えたのだ。

これまでは各部署に偏在していたデータを組み合わせ、誰も知らなかった有意な情報が現れる。自分も、そして案件の依頼主も目を輝かせる。そんな瞬間に大きなやりがいを感じると大福は言う。いずれはその喜びを、東京電力グループ全体へ。そして、もしかしたらグループの外へ。東京電力パワーグリッドにしかないデータを、社外のデータと掛け合わせることでさらに大きな発見が生まれるかもしれない。そんな将来も視界のどこかに捉えながら、大福たちはチームの力を磨き続けている。