PROJECT
STORY
03

天然ガス大国を、
天然ガスの
枯渇から救う。

理系 東京電力フュエル&パワー

Project Outline

オーストラリア LNG調達・供給プロジェクト

火力発電の燃料としても使用されるLNG(液化天然ガス)。その最大輸出国であるオーストラリアの一部で、天然ガスの枯渇が迫っている。燃料の調達から供給、発電まで、すべてにノウハウを持つJERA・小倉の奮闘。

Project Member

東京電力フュエル&パワー((株)JERA出向)
事業開発本部 資源事業部
バリューチェーン事業開発第二ユニット
小倉奈緒子(2011年入社)

※部署名等は取材当時のものです

Chapter 01

オーストラリアからのSOS。

LNGとは、液化天然ガス(Liquefied Natural Gas)のこと。その名の通り天然ガスを-162℃まで冷却・液化させたもので、火力発電の燃料や都市ガスとして使われている。CO2などの排出が比較的少なく、世界各地の埋蔵量が豊富で、液体だから運搬や保管もしやすい。東京電力には、日本で初めてLNGを発電用燃料に使用した歴史がある。

世界最大のLNG輸出国はオーストラリアだ。日本も輸入のおよそ3割をオーストラリアに頼っている。ところが、そのオーストラリアから小倉のもとに舞い込んできたのは、まるでLNG大国らしくない依頼だった。「天然ガスの枯渇が近い。海外から調達したい」。一体なぜ? 実は、オーストラリアにおける天然ガスの産出は西側に集中している。東側には国内向けガス田がひとつしかなく、それが枯れてしまえば地元の産業には大打撃だ。西側からパイプラインで供給しようにも、国土が広すぎて莫大なリソースが必要になる。船で海外から調達するほうが、よっぽど早くて現実的なのだ。
東側の天然ガス枯渇までは残り数年と見られていた。そこで、現地のエネルギー企業と日本の商社が手を組み、LNG調達・受入れ設備開発のためのプロジェクト会社を設立。ところが、肝心のLNG調達ノウハウが足りていない。だからこそ、小倉の所属するJERAに声がかかったのだ。東京電力フュエル&パワーのグループ会社であるJERAは、火力発電のための燃料調達からLNG受入れ設備、発電所の運営までを一貫して手がけている。もちろん、ノウハウも膨大だ。

Chapter 02

港、船、行政。すべてを見る。

小倉はまず、港を選ぶための現地調査から始めた。海を渡ってきたLNGは港でガスに戻され、パイプラインを通じて需要地まで送り届けられる。つまり、需要地にできるだけ近い港がいい。もちろん、ガス化などを行う設備が建設できることも必須条件だ。さらに、どこからLNGを輸入するかの検討も始めた。たとえばアメリカから船で運ぶとして、どんな船が使えるのか。どんな契約になるのか。いくらかかるのか。また、天然ガスは産地によって受け入れ設備との相性がある。いくつもの条件が複雑に絡み合う判断に、絶対の正解はない。現地から送られてくる資料をにらみ、知見のありそうな社内のユニットに意見を仰ぎ、自分自身も勉強を重ねながら、正しいと思える方に少しずつ進んでいくしかない。はじめは自分でも頼りなく思えた嗅覚は、必死に突き進むうちに研ぎ澄まされていった。

港の候補地が絞り込まれると、次は行政に認可を受けるための「環境影響評価」が待っている。これが一つの壁になるかもしれない、と小倉は身構えた。評価の作業そのものはスムースに進んだとしても、行政の判断に時間がかかるのは万国共通。天然ガスの枯渇という、これ以上ないほどシビアなデッドラインが迫る中、果たしてどう出るか。ところが、候補地であるニューサウスウェールズ州の協力ぶりは想像以上だった。「これは州にとっても一大事だ。一刻も早く対応したい」。異例とも思えるスピードで認可は進んだ。とはいえ、気を抜くわけにもいかない。選挙など、行政に大きく絡むイベントがあると認可は後回しにされがちだし、それが行政の入れ替わりにつながれば、話が振り出しに戻ることもないとは言えない。こまめに現地の状況をチェックしながら、小倉は待った。やがて、滞りなく認可が下りたとの報がもたらされた。

Chapter 03

バリューチェーンという強さを磨く。

プロジェクトは、まだ道半ばだ。港の工事や、需要量についての実態調査、パイプラインの敷設など、やるべきことは多い。それでも、エネルギー枯渇という緊急事態への対策に、目鼻をつけられたことがうれしい。いま小倉の名刺には、「バリューチェーン事業開発」と書かれている。燃料の調達から受け入れ、発電まで、一気通貫して手がけるために新しく生まれたチームだ。オーストラリアでのプロジェクトでは、調達と受け入れの両方を見ることができた。小倉にとっても、そして小倉の所属するチームにとっても、貴重なノウハウが手に入ったのだ。やがてそれは、新しいプロジェクトを前進させる力になるはずだ。小倉個人がオーストラリアで鍛えられた、嗅覚や粘り強さとともに。