PROJECT STORY #03

インフラシェアリングによる、
5Gの普及拡大。

OUTLINE

東京電力のアセットである「電柱」「地上配電機器」などを、5Gの基地局として提供。 5Gの普及拡大に貢献するとともに、事業領域の拡大を図る。

PROFILE

東京電力パワーグリッド
事業開発室 アセットプラットフォーム事業開発グループ
橋本 典之
2003年入社
工学部 電気電子工学科
※部署名等は取材当時のものです
CHAPTER 01

5Gの基地局を増やすには。

2020年3月から日本でもサービスが開始された「5G」。しかし、その普及には時間がかかるとみられている。理由のひとつは、5Gに高周波数帯が割り当てられていること。そのため電波が遠くまで届きにくく、これまでよりも多くの基地局が必要とされる。そのひとつのソリューションとして通信事業者の要望に応える形で東京電力が立案したのが、複数の通信事業者による「インフラシェアリング」だ。

東京電力は4G以前から、電柱を基地局の設置スペースとして通信各社に貸し出してきた。これまでは「電柱1本につき1装置」というルールがあったが、それを撤廃してシェアリングを可能にすれば、基地局の設置を加速させられる。通信事業者にとっては、部材の共通化によってコストダウンが見込めることもメリットだ。東京電力もこれを機に、ただ場所を貸すだけではなく、調査や工事までワンストップで請け負うスタイルを確立し、貢献の幅を広げたい。

CHAPTER 02

スマートポールという可能性。

一方で課題もあった。これまで基地局の設置場所には電柱が利用されてきたが、防災や景観向上の目的から無電柱化が進んでおり、その数はやがて減っていく。かわりに地上配電機器の活用にも取り組んでいるが、こちらは小型化の傾向にある。いずれにしても、将来的な設置スペースの不足が懸念されるのだ。

その解決策に挙がったのが「スマートポール」だ。5G基地局のほか、公衆Wi-Fiや各種センサー、デジタルサイネージといったニーズの高い機能を備えることができる。未知の部分も多いが、普及の可能性は大いにある。さらに追い風も吹いた。東京都が2019年に発表した「TOKYO Data Highway基本戦略」だ。そこには「5Gネットワークの早期構築」も謳われており、これを背景として、東京都は西新宿にスマートポールの先行・試行設置を決定。東京電力も、協力事業者の一社として参画することになった。

CHAPTER 03

くらしの支え方を広げていく。

2020年。西新宿エリアに、日本初となる5G搭載のスマートポールが計9基設置された。その中に、東京電力が手がけた「変圧器活用型」のスマートポールもあった。既存の変圧器という、東京電力のアセットを最大限に活用したものだ。実証を通じて効果と課題が洗い出され、2021年には20基のスマートポールが設置されることになった。東京電力はこちらにも、複数社での共同提案という形で再び参画。さらに詳細な検証に携わっている。

こうした取り組みの中で、橋本の経験値も確実に積み上がっている。電気事業とはもともと、マニュアルを確実に遂行していくもの。しかし、新事業にマニュアルはない。オペレーションを1から構築し、収支計画なども作成しなければならない。経営層との会話も増えた。こうした変化のひとつひとつが、自身の成長につながっていると橋本は感じている。

まだまだ道は半ばだ。しかし、東京電力のアセットを活用することで、5Gの普及拡大に貢献するという道筋は確かに見えてきた。くらしの利便性を向上させるという東京電力の普遍的な目標は、電気をつくり、送り届けること以外においても、さまざまな形で達成されようとしている。