PROJECT STORY #01

防災を軸とした、
新しい事業の構築。

OUTLINE

災害の多い日本で電気の安定供給に挑んできた技術とマインドを活かし、東京電力のアセットを活かした持続可能な防災事業を生み出す。

PROFILE

東京電力ホールディングス株式会社
防災産業推進室
秋澤 文明
2009年入社
理工学部 物理学科
※部署名等は取材当時のものです
CHAPTER 01

新部署の設立。

2019年9月。台風15号によってもたらされた大規模な停電は、予想を上回って長期化した。その間、自治体や企業、一般家庭から寄せられた要請に応えきれなかったことは、東京電力に大きな課題感を残した。それから約1年後の2020年10月に設立されたのが「防災産業推進室」だ。防災を軸とする、新たな事業の創出がその目的。

秋澤は、設立と同時に防災産業推進室に配属された。法人営業としてさまざまなお客さまニーズを掘り起こしてきた経験をしてきた。どんな事業を、どう始めるか。決まっていることは何もない。まずは手がかりが必要だ。秋澤は、台風15号による停電時にお客さまから寄せられたリクエストや、SNSへの書き込みを再度洗いざらい調べ直した。また、自治体へ足を運んで当時の状況をヒアリングした。社内においても、改めて課題や反省点を洗い出した。「電柱までは復旧できても、その先の各ご家庭に対するケアが充分ではなかった」「避難所に非常用電源を持ち込んでも電気工事の人手がなく、活用しきれなかった」。リアルな声から、少しずつビジネスのヒントが見えてきた。

CHAPTER 02

災害時にも平時にも、役立つものを。

防災産業推進室設立後、さっそくいくつかのサービスについて実用化の検討を始めた。たとえば「UXコネクタ」。災害時に避難所になる建物にあらかじめ設置しておくことで、外部からの非常用電源を誰でも安全に接続・利用できるようになる。また、「スマート分電盤」を活用したサービスでは、電気火災が発生する前に予兆現象を検知し、サービス員が訪問して解決する仕組みを検討。自治体との実証も始まっている。

プロジェクトを進める中で秋澤が強く意識したのは、「フェーズフリー」というキーワードだった。いかに災害の多い日本とはいえ、「防災にお金を払う」という考え方はまだまだ浸透していない。災害時だけ役に立つものではなく、平時と災害時のどちらにもメリットがあることが重要なのだ。たとえば「備蓄食ローリングストック」は、災害時だけに食べる食事ではなく、日常でもおいしく食べられるものを定期的に提供することで、日常生活の延長線上で防災力を高められる。「スマート分電盤」の活用においては、家庭での電気使用状況をマーケティングデータ化することで、ライフスタイルに即したサービスの提供につながる可能性がある。

CHAPTER 03

一人ひとりの防災力を上げたい。

災害が激甚化している日本において、このプロジェクトは「待ったなし」と言える。秋澤は、防災をビジネスにすることの意義をこう説明する。「一人ひとりの防災力が上ることで、ひいては組織全体のレジリエンス力が高まると考えている。わたしたちが、防災サービスを提供することで、一人ひとりの防災意識が高まり、そして、その収益によってさらに質の高い防災サービスが提供できる。そんな好循環を生み出したい」。

まず重要なのは、東京電力はなぜ防災を事業化するのか、その意義をしっかりと発信していくことだと秋澤は考えている。そのためにも、まずは指針となるような事業を一日でも早く軌道に乗せたい。社内からの大きな期待もあり、プレッシャーを感じることもたびたびだと秋澤は言う。それでも「新しいことに挑んで、安心で快適な未来に貢献していきたい」。前向きなトライアル&エラーは、今日も続いている。